デリヘル物語12

「アイツ」から電話があった


そう…


キバミという男からである


この男はベトナム人
同い年
見た目はまんま日本人
日本語ペラペラ
ソコソコ男前
どっかのNo.1ホスト
女関係だらしない
コイツの口癖は


女は福沢諭吉


要は最低な男である


キャバクラボーイ時代に
芦田を通じて知り合ったのだが
もう一つ気が合わないので
そんなに関わりを持とうとしなかった
俺から連絡を取ることは無くて
キバミからたまに連絡がくる位の間柄


一瞬電話に出るか迷ったが
何回も掛かってくるのも
面倒くさいし
電話に出る事にした



もしもし


キバミ 
おー、○っちゃん!何してんの?
 

いや、別に
家におるけど?


キバミ
そうなん?芦田から聞いたけど
女に振られたんやってー?



おう…
情報早いな…


キバミ
まあなー
女なんてなー
ヤッてもたったらエエねん


コイツのこういうデリカシーの無い所が
合わない理由でもある



んで
どうないしてん?
何かあったんかいな?


キバミ
明日な俺の女友達と飲みあんねんけど
来るやろー?


かなりイラッと来る
もう行く前提で話を進めやがる



いや
ちょっと止めとくわ
そんな気分ちゃうし


キバミ
そうなん?
女の傷は女で埋めないとあかんでー
また誘うわー


電話を切る


気を使ってるのか
何も考えずに言ってるのか…


何か色々と疲れた


もう寝ようかなと思った矢先に


電話がまた掛かってきた


なんやねん
またあの野郎か?
しつこい奴やな
もう無視してやろうか?


いや


敢えて電話に出て
怒鳴り散らしてやろうか?
そうしよう


俺は電話を手に取り
着信画面を見たら


アキヨだった


何?
何何?


これは
電話に出たほうが良いのか?


どうしよう?


俺は
迷ったが


電話に手に取った