ラーメン物語9

あれから
コウヅキに会うことも無く
連絡も来ることが無い
いつもならこちらから連絡取らなくても
勝手に連絡が来るというのに


シフト表を確認してみる
コウヅキは今日は休み
ならば今夜にでも連絡取ってみるか


バックヤードで
休憩がてら色々と事務仕事をして
夜に向けて仕込みを開始するかと
厨房に向かった


お願いしまーす


注文が通った
ピークが過ぎたとはいえ
お客さんは来る
注文をこなしながら仕込みをしていくのだ


社員達は仕込みをしていき
俺がオーダーをこなす


注文を確認し
調理をしていく


○藤さーん!!


ホールの方から聞いたことがある声がした
声がした方に顔を向けてみると


フクモリとアラキがいた


飲食店のバイトあるあるなのか知らないが
休みの日に結構バイト達が食べにきたり
遊びにきたりする


ピークも過ぎてお客さんもほぼいないので
ホールへと出向き
二人に声を掛ける


「アラキさん、この前はありがとうな!どうしたん?二人して」


「こちらこそありがとう!休みエミ(フクモリ)と一緒やったから遊んでて、ここに来よーってなってん」
アラキは言う


なるほど


「言い出したんエミやねんけど!」
冗談っぽく笑いながらアラキが言い
「ちょっと○藤さん!早くラーメン持ってきてよ!」
フクモリが慌てて注文を急かす


今から作ってくるわと言い
厨房に戻る


アイツら相当な暇人やな


そう思いながらラーメンを作り
玉子とチャーシューをオマケに付けてやる


ラーメン上がります!

 


そしてホールのヒトミが
ハーイと言い
ラーメンを持ってフクモリ達の元へ行く


店が暇で
ヒトミも仕事をある程度
終わっているのもあって
フクモリ達の元で楽しく会話している


女は喋るのが好きな人種やな


オーダーを捌いた俺は
仕込みの続きに戻っていく


仕込み作業に没頭していると
ホールから声が聞こえてきた


「○藤さーん!ありがとうー!仕事頑張ってねー!」
フクモリの声が聞こえたので
おーありがとうー
と返す


そのやり取りを見ていた
オオタニチーフが
「○藤君人気者やなぁ!」
と言ってくる
「いや、そんな事無いですよー」
これは本心だ
逆に俺の事を忌み嫌ってる人間も確実にいる
すぐ近くにいるイモト氏だが
イモト氏は俺の事を
かなり嫌ってる
挨拶も返してこないし
仕込みも手伝ってくれない
何よりまず会話が一切無いし


オオタニチーフは
「フクモリさんは多分○藤君の事好きやでー?いかへんの?」
恐ろしい事を言う
「それは無いですよ!馬鹿にされてるだけですってー。フクモリは誰にでもあんな感じですよ」
これは間違っていない
フクモリは誰にでも愛想は良いんだ
オオタニチーフは
「まあそうやけど、イケそうな感じするけどな?あの乳は魅力的やで」
悪そうなやらしそうな顔をして言ってくる
確かにあの乳は良い
だが同じ職場の人間に手を出して
良いことなんか何もない
俺は笑いながら
そうッスねーと言い
仕込みの続きをしていく


仕事が終わり
家に帰り一息付いて
コウヅキに連絡を取ろうと思った


電話を手に取りコウヅキに掛ける


コウヅキ「もしもし?」


俺「おうコウヅキ」


コウヅキ「お疲れ様です。どうしました?」


俺「いやあの飲み会の後がどうなったか気になってな」


コウヅキ「いや別に何も無かったですよ」


何も無かったのは知っている
しかし
何故か声が暗い


俺「何かあったんか?」


コウヅキ「…」


どうやら
何かあったようだ


俺「どうした?」


コウヅキが話しだした